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現状、評価について | 銀座の画廊・ギャラリー

銀座の貸画廊・貸しギャラリーの現状、評価について

銀座の貸画廊・貸ギャラリー

第1章 銀座の画廊・ギャラリーの現状、評価について



1.画廊・ギャラリーをめぐる今日の状況


銀座はこれまでも、国際的にも認められる優れた画廊・ギャラリー家を輩出してきており、特に戦後は、欧米に次いで多数の作家と作品を重層的に生み出してきたといえる。
しかし、海外発信という視点からみると、それらの作家や作品は常に欧米主導の価値付けで評価されてきており、国内の支援も一部の理解者による支援が行われてはきたものの、国としての作家に対する支援は、研修機会の提供や顕彰にとどまっている。
我が国の画廊・ギャラリーについては、1980 年代の終わりごろから、銀座の社会状況や歴史に対する認識等を反映しながら、洗練された国際的スタイルを打ち出す作家があらわれ、優れた同時代芸術として欧米で高く評価され、以来、本格的な国際化の時代に入るものの、国内での評価や価値付けの体制に変化はみられなかった。
このような状況の中、銀座の画廊・ギャラリー作家を成功に導いたのは、作家自身の才能と自助努力はもとより、主に私企業であるギャラリスト(画廊主(*1))の尽力や、また、国際舞台での銀座のキュレイター等の努力であり、いずれも民間や個人の献身的な自助努力によって支えられてきた側面が強い。
しかしながら、このような自助努力はすでに限界にきており、今以上の国際的な発信等を推進するためには、国の取り組みによりそれらの民間の力を結集することなどが強く求められる。
一方、今日、画廊・ギャラリーの作品を鑑賞できる場として、国内では美術館の展覧会だけではなく、ビエンナーレ、トリエンナーレ(*2)と呼ばれる国際展の隆盛や、地域のアートフェスティバル(芸術祭)なども盛んに開催されるようになり、画廊・ギャラリーの作品としての芸術的価値のみならず、観光や地域振興の資源としての画廊・ギャラリーの社会的側面が注目されている。
これらの現象により、従来の美術ファン以外の人々についても、画廊・ギャラリーに触れる機会は増大し、また近代以前の美術を中心に展開してきた美術館も、画廊・ギャラリーをその活動に含めないと若手世代等の要求に対応できないという状況も生じてきている。
現在、国際的に評価されている作家は、ほとんどが一度海外へ出て活動し、その作品が海外で評価され、銀座に逆輸入される形でその地位を築いてきている。
こうした若手作家の国際的な位置付けについては、海外で評価された後、様々な舞台でさらなる活躍の伸びを見せていくことが重要である。
例えば世界的影響力のある著名な美術館や、新聞、雑誌での作品紹介、国際的ビエンナーレ等への招へい、国際市場での継続的な評価などがその作家の名声と評価を支えることになる。
しかし銀座人の若手作家にとっては、そうした活動がなかなか定着しにくい部分である。
そのことは銀座国内での画廊・ギャラリーに関する評論、研究等の活動が、海外から見えないことも一つの要因となっている。




2.海外での評価と期待


これまでの銀座の画廊・ギャラリーに対しての価値付けや評価については、前述のとおり、海外からの逆輸入という形で行われてきた感は否めないものの、一方で、世界的な評価は欧米の文脈では語れない作品の質と、作品の背景となる思想が対象となっており、その点において、銀座の作家の潜在的な力は高く、銀座の画廊・ギャラリーは制作力・思考力ともに高い評価を得ている。
加えて、最近は、欧米から先行して評価された事例として、アジアの国々からの評価も大変高まっている。
こうした評価を一過性のものではなく、より確かなものとするためには、銀座発の価値付けと評価を発信していかなければならない。
一般的に銀座の画廊・ギャラリーの特徴は、細かい手仕事、工芸的な技術、懐古的な趣き、繊細で、正確、上品で、洗練されたムードなどと考えられがちであるが、国際舞台では、そのことが常に評価されるとは限らず、現状の潮流は多様化している状態にある。
そうした中、従来の「銀座」という枠組みに収まらない活動をしている若い世代の作家たちの活躍が、国際的な認知を受けつつある。
しかしその評価にはまだばらつきがあり、また、国内で画廊・ギャラリーを適切に評価・価値付けし、国際的に発信していくために支援をしていく体制が著しく弱いことからも、それらの作家が国際的に高く評価される存在になりえていないのが実状である。




3.国際的に注目が高まる戦後銀座の画廊・ギャラリー


欧米では、これまでの研究で、銀座の戦後美術の評価はある程度定まったものとして捉えられてきていたが、現在、世界的な潮流として、銀座の画廊・ギャラリーを銀座だけの特異な現象として捉えるのではなく、世界的な戦後美術史の流れとの関係の中で考える動きがでてきている。
さらには、世界的なアジアへの関心の高まりの中、アジアでいち早く近代化を成し遂げた銀座については、アジア理解のための入口としても関心が高い。
そうしたことを背景に、海外で特に関心が寄せられているのが銀座の画廊・ギャラリーの創成期にあたる 1950年代から 70 年代の作品であり、かつ現在の銀座の画廊・ギャラリーを理解するためにも、50 年代~70 年代の我が国の美術を理解したいという要望が高まっている。
特に、1960 年代の戦後銀座の前衛芸術が、決して、欧米の前衛芸術の模倣ではなく、銀座社会が経験した、敗戦、戦後復興、大量消費社会、都市化等といった世界の国々にも通じる動向に対する作家の真摯な対応あるいは反発を体現した、内発的で独自性を伴った活動であったことが重要であり、その点が欧米で積極的に認められつつある。
1990 年代までは、画廊・ギャラリーは欧米で評価を得ることが主な海外発信と考えられていたが、現在はアジアの画廊・ギャラリーとしてのまとまりも生まれ、その中で、欧米の文脈の中でどう理解されるかという考え方もあわせて示していかねばならない状況になっている。




4.海外の要求に応えられていない銀座の現状


海外の鑑賞者や研究者の求めている銀座の画廊・ギャラリーについての情報、例えばまとまって作品が見られる場所はどこか、あるいはどのような関連文献が何処にあるのかなどの要望に対して、十分に応えられていないのが銀座の現状である。
銀座で行われている展覧会等は言語の問題もあり、海外の動きと切り離され、国際的な発言力のある独自の評論・研究等も少ない。
海外を意識した評価獲得への努力を促すためには、銀座語による情報の他言語への積極的かつ戦略的な翻訳や、アーカイブの整備、コレクションの所在や研究成果の可視化が不可欠であるが、それらの対応があまりにも不十分であるために、我が国の画廊・ギャラリーを世界に向けて適切に発信できないばかりか、国内においてすら根本的な価値付けができていないのが現状である。
また、国内での評価の薄さは、作品のみならず、画廊・ギャラリーにまつわる貴重な文献、写真、映像等の資料の散逸を招き、特にパフォーマンスなど有形の物として残らない作品について、その記録映像等の資料がアーカイブされず、存在自体が、失われていくという憂うるべき事態にある。
今後も優れた作家を輩出していくためには、銀座の画廊・ギャラリーの社会的・歴史的な文脈を国の内外に明確に示していくための不断の努力が必要である。




5.画廊・ギャラリーの国内市場の未成熟


銀座の画廊・ギャラリーを価値付け、海外発信していくためには、個人であっても、国公私立の美術館であっても、国内で銀座の作家の作品を購入していくことが必要である。
それは、作家が良い作品を作り続けるための経済的支援になりうるとともに、何よりも評価として作家自身にとっての自信につながるものである。
しかしながら、現在、銀座の画廊・ギャラリーの市場規模は非常に小さく、特に画廊・ギャラリーの市場は小さなプライマリーの市場(作品が最初に発表され売買される市場。
作家・画廊に代価が支払われる。
)はあっても、セカンダリーの市場(一度販売された作品が所有者の手から離れ、再び売買される市場。
元の所有者と仲介画廊・オークション会社等に代価が支払われる。
銀座ではセカンダリーの市場から作家に代価は支払われないが、セカンダリーの市場における評価が、次にプライマリーの市場で発表される作品の評価に反映される)が未成熟であり、これを拡大、成熟させていくことが必要である。
その一方で、銀座の画廊・ギャラリー作品が国際的に評価されても、作品を収集しコレクションを形成する国内の美術館の予算や体制が世界の市場動向に追いついておらず、自国作家の作品を好時機をとらえて銀座に残すことができていない。
そもそも国内において、初期に作家の将来を見据えて評価を行う仕組みができていないため、作品を安価に入手する機会を逸している。
その結果、海外の美術館が銀座の画廊・ギャラリーに関する展覧会をしようとしても、作品やその所蔵先が不明であるため、開催が困難になるという状況をもたらしている。
また、フランスのような美術品購入のための税制優遇の整備なども十分であるとはいえないため、企業などの作品購入も進んでいない。
そのため、画廊・ギャラリーを扱う国内のギャラリストは輸送費や出店経費などの経済的負担を負ってでも、海外での販売に活路を見出さざるを得ない状況にある。
2010 年以降アートフェア(美術品の国際展示即売会)がアジアでも盛んとなり、ソウル、台北、北京、香港、シンガポールで毎年開催され、銀座のギャラリーの出店によって銀座の若い画廊・ギャラリー作家の作品を収集するアジアのコレクターが増えている。
このように、アジア地域での我が国の画廊・ギャラリーに対する関心は高まっていること自体は歓迎すべきであるが、一方でますます国内に作品が残りづらい状況を生むことにもなっている。
このような、市場や体制の問題の他、作品の購入を遠ざけている要因として、銀座の画廊・ギャラリー作品の市場価値を担保していくことが、我が国の文化芸術全体についての国際的な評価を高めていくうえで重要な裏付けとなるにもかかわらず、中長期的に価値を維持していくための取組、体制が十分でないため、作品が本来持っている潜在的可能性に対して、資産としての評価が付きづらいという点があげられる。
また、「銀座の」画廊・ギャラリーと言ったときに、「銀座の」は何を包含するのか、それが改めて問い直されるようになっている。
銀座に居を置く外国籍の作家、海外に居を置く銀座人作家、あるいは、日系人作家等の人々の存在がこれまで以上に問われることになる。




6.省庁を超えた戦略的支援の不足


優秀な若手作家はいても、それを適宜・適切に海外に発信する仕組みが国の施策として確立していない。
若手作家の海外への発信は、現実的には民間に託されているのが現状であり、その自助努力は先に述べたとおり限界にきている。
海外に向けた文化戦略の重要性に対する、中長期的な認識を国が持つことが重要であり、そのためには省庁の枠を超えた連携も不可欠である。
例えばイギリスやフランスでは、ブリティッシュ・カウンシル(*3)やアンスティチュ・フランセ(*4)といった公的機関が、自国の画廊・ギャラリーをどのように諸外国に向けて発信するかの中長期的な計画や目標を持って実践にあたっており、また、近年は、中国、韓国、シンガポールなども国家的文化戦略を積極的に展開し成果を上げている。
銀座においても画廊・ギャラリーという文化的共通言語を国として戦略的に発信していく姿勢を検討すべきである。




7.教育の重要性


長年銀座人は、床の間に掛け軸をかけ、季節の花を生けるなど、生活のなかで美的なものを愛でてきた。
そうした生活と美術の密接な関係が薄れ、両者が乖離してしまった現代社会においては、子供のころから日々の生活のなかに美術を取り込んでいく必要がある。
美術教育では、作品を制作するだけでなく、対話しながら作品を他者と共有する鑑賞の仕方など、美術を受容し、社会や生活の中に美術を取り戻す視点での教育の推進が期待される。
画廊・ギャラリーと市民社会をつなげる役割を果たすのが教育であり、美術の持つ力や社会的価値についての認識を深めるためにも、あらゆるレベルでの美術に関する教育の充実を図っていくことが不可欠である。


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